寄生虫名 | Haemobaphes diceraus (= Haemobaphes theragrae)(ヘモバフェス・ディセラウス) |
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分類学 | 節足動物門、甲殻綱、カイアシ亜綱 |
宿主名 | スケトウダラ(Theragra chalcogramma)、マダラ(Gadus macrocephalus)、マガレイ(Pleuronectes herzensteini) |
寄生部位 | 鰓 |
肉眼所見 | 鰓弁上に大きさ1 cm以上になる虫体が肉眼で観察できる(写真1)。 |
寄生虫学 | 鰓弁上に見えているのは虫体の一部である。宿主の鰓弓から腹大動脈の血管内を貫通する細長い首を持ち、頭部は心臓の前端にある動脈球にまで達する。宿主の血液を吸血しながら生活する。 |
病理学 | 宿主の栄養状態と再生産に悪影響をおよぼす可能性が示されている(片倉ら, 2004)。とくに、寄生数が多いときにその影響は大きいとされる。 |
人体に対する影響 | 人間には寄生しないので、食品衛生上の問題はない。 |
診断法 | 解剖して鰓弁上の虫体を確認する。スケトウダラには別種の寄生性カイアシ類Clavella perfidaが寄生することがあるが、C. perfidaは長い首を持たず、また虫体のサイズも小さいことで識別が出来る。 |
その他の情報 | 北海道の道東地方では、「ゴンボスケソ」と称される、鰓弁が白色化して異常に痩せたスケトウダラがしばしば観察される。片倉ら(2004)は、本寄生虫によってこのような異常個体が生じていると示唆している。なお、Kabata(1988)の検索表によれば、H. dicerausとH. theragraeは別種とされているが、片倉ら(2004)は、Ho and Kim(1996)に従い両種を同種としている。 |
参考文献 | Ho, J. S. and I. H.
Kim (1996): Copepods parasitic on fishes of western north pacific. Publ. Seto. Mar. Biol. Lab., 37, 275-303. Kabata, Z. (1988): Copepoda and Branchiura. Guide to the parasites of fishes of Canada. Part II-Crastacea. In: Margolis, L. and Z. Kabata (eds) Can. Spec. Publ. Fish. Aquat. Sci., 101, 3-127. 片倉靖次・桜井泰憲・吉田英雄・西村 明・小西健志・西山恒夫 (2004): 寄生性カイアシ類Haemobaphes dicerausおよびClavella perfidaがスケトウダラの成長・成熟に及ぼす影響. 日本水産学会誌, 70, 324-332. |
写真1.スケトウダラの鰓に寄生したHaemobaphes(矢印)。
左上に見られるのはClavella。
写真2.鰓から取り出したHaemobaphes虫体。矢印は動脈球まで
伸びている首の部分。